産後ストレスについて
産後うつとは、出産の後に精神的に不安定な状態になることです。
産後うつは出産によってホルモンバランスが乱れることと、育児に対する不安や環境の変化といったストレスの2つが原因と考えられています。
産後の精神的な疾患は大きく以下の2つに分類することができます。
マタニティーブルー
マタニティーブルーは産後3日から10日頃に発生する生理的現象です。症状は2週間程度で収まることが多いと言われていますが、症状が重く、なかなか改善しない場合は産後うつに移行するケースもあるため注意が必要です。
産後うつ
出産後1ヶ月以内に発症することが多く、妊婦の3%程が産後うつになると言われています。治療によって症状が改善するケースが多いですが、重度の産後うつを放置してしまうと、自傷行為や最悪の場合、自殺に至ることもあるため、妊婦本人だけではなくご家族の方も注意が必要です。
産後うつの症状
- ゆううつな気分になる
- 落ち込んだ気分になる
- 不安な気分になる
- 何事にも無気力になる
- 夜眠れなくなる
- 食欲不振
- 強い不安や焦りを感じる など
産後うつになる期間
産後うつはその名前の通り出産後にかかる病気です。
マタニティーブルーの場合、出産後3~10日程になりやすく、特に出産後2日から4日ごろがピークと言われています。
産後うつは出産後1ヶ月以内が発症の目安で、マタニティーブルーから産後うつに移行することもあります。(5%程度が移行すると言われています。)
産後うつの治療方法
産後うつの治療は一般的なうつ病と基本的には同じで、ストレスを減らすための環境調整と症状を抑えるために必要に応じて薬による治療を行います。
薬は主に抗うつ薬を使用しますが、症状に合わせて睡眠導入剤や不安を抑える薬を出す場合もあります。ただし、お薬を服用すると、そのお薬の成分が母乳へ入るため、赤ちゃんに影響を及ぼすリスクが発生してしまいます。そのため、授乳への影響を鑑み、個々の状況などを考慮して服薬内容を検討する必要があります。場合によっては母乳から人工乳へ変更する必要となるケースもあります。
環境調整については、育児による負担やストレスを軽減するために、パートナーやご両親などの協力も必要になってきます。
育児ストレスについて
育児ストレスとは、主に出産後の母親が育児によって感じるストレスの影響で精神的に不安定になってしまう状態のことを指します。
出産後はホルモンバランスの変化や、核家族化によって周りに頼れる大人がいない状況の中、子育てに対する不安を一人で抱えてしまう方が増えてきています。子育てを協力してくれたり、悩みを受け止めてくれる方がいないと、ストレスを溜め込んでしまい育児もつらいものになってしまいます。
ストレスをため込みやすい方
「周りに迷惑をかけずに子育てしよう」「自分ひとりで子育てしよう」とお考えの方は、自分の時間をすべて子育てに費やしてしまい、気が休まる時間がありません。結果として育児ストレスを溜めやすくなってしまいます。
- 完璧主義・几帳面な方
- 責任感の強い方
- 夫や周囲の協力が得られない方
完璧を目指しすぎない、また育児の悩みを聞いてくれる存在がいるだけでもストレスの軽減になります。
育児ストレスの治療
気持ちを楽にさせて孤独感を緩和させる事が重要です。
パートナーや両親のサポートが受けられるようであれば、できるだけ一時的に一緒に暮らし、アドバイスや支援を受けながら安定した日々を過ごすようにしましょう。
育児ストレスでは、まずやるべき治療方法は休むことです。
家族の支援だけでなく、行政や民間の育児サービスを利用するなどして、1人でゆっくりするための時間をつくることも大切です。
それでも気持ちの不安定さやイライラ、抑うつ状態が改善されない場合は、症状に応じて薬を処方するケースもあります。