強迫性障害とは
本人は無意味とわかっていても決まった行動を繰り返してしまうのが強迫性障害です。これは、強い不安やこだわりなどが日常生活にも影響を及ぼしている状態で、自分の意思に反すると理解はしていても、不安や強迫観念が頭に浮かんでしまい、それを抑えようとして強迫行為(無意味な行為)を繰り返さずにはいられなくなる状態です。
なお強迫行為とは、具体的には外出時に玄関の鍵やガス栓などを閉め忘れてないかを確認する為に家に何度も戻ってしまう、あるいは汚れや細菌汚染を恐れて手を繰り返し何度も洗い続けるといった行為、不吉な数字やジンクスを気にするなどです。
強迫性障害では、このような症状がみられます(例)
- 汚れや細菌汚染を恐れて何度も手洗いや洗濯、入浴などを繰り返す。
- 何度も何度も窓や玄関のカギ、ガス栓、電気器具のスイッチなどを確認する。
- 自分の決めた回数や手順に沿って物事を行わないと不安になり、それに従う。
- 物の位置や左右対称性、数字などにこだわりがあり、それから外れると不安になる。
抑うつ状態になることも
発症に関しては突然起きることが多く、それはストレスを感じるできごとがあった後に起きるケースがよく見受けられます。強迫行為がエスカレートすると抑うつ状態になることもあります。なお原因については、完全に解明されたわけではありませんが、神経伝達物質のひとつであるセロトニンの代謝が関係していることが最近の研究で報告されています。
発症年齢は、平均して20歳前後(日本での平均発症年齢 男性22歳、女性24歳)です。また、几帳面や完璧主義などの性格(強迫性格)の方が強迫性障害になりやすいと言われていますが、必ずしもそれらが原因で発症するとは限りません。
治療について
薬物療法が基本で抗うつ薬のSSRIが有効とされていますが、その他にも抗不安薬などを使用することがあります。また、認知行動療法(曝露反応妨害法:強い不安が生じやすい状態にして、不安を解消させるために行う強迫行為を我慢させる)も併せて行います。