ASD(自閉スペクトラム症)とは

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障害の兆候が1歳を過ぎた頃から出始め、この頃から「人の目を見ることが少ない」「指さしをしない」「他の子どもに関心が無い」などの様子が見られます。対人関係に関連するこのような行動は、通常の子どもであれば急に伸びていくものですが、自閉スペクトラム症の子どもでは明確な変化が現れません。保育所や幼稚園に入っても一人遊びに興じて集団行動が苦手など、人との関わり方が独特なことから気づくこともあります。

このほか、言葉を話し始めた時期に遅れが無くても話したいことしか口にしないため、会話が成立しにくいことがあります。その一方で、自分の好きなことや興味のある対象には毎日何時間でも熱中しています。初めてのことや、決まっていたことの変更は苦手で、そうしたことに対応するのに時間がかかることがあります。

そして、思春期や青年期になると、自分と他者との違いに気づいたり、対人関係がうまくいかないことに悩んだりし、不安・うつ症状を合併するケースもあります。就職して初めて、仕事を臨機応変にこなせないことや職場での対人関係などに悩み、自ら障害ではないかと疑い、医療機関を訪れる人もいます。

診断を子どもの頃に受け、周囲の理解を受けて成長した方たちのなかには、成長とともに症状が目立たなくなる方や、能力の不均衡を上手に活用して、大いに活躍する人も見受けられます。

治療について

幼児期に診断された場合には、個別または小集団での療育によって、コミュニケーションの発達を促し、適応力を伸ばすことが可能です。また、療育を経験することによって新しい場面に対する不安が減り、集団活動への参加意欲が高まります。

早期に診断をつけることは、保護者が子どもをありのままに理解し、その成長を見守っていくことに役立ちます。自閉症そのものを治す薬はありませんが、睡眠や行動の問題が著しい場合には、薬の服用について医師に相談してみてください。

思春期以降になって不安・うつ症状が現れた場合には、抗不安薬や抗うつ薬を服用すると改善することがあります。しかし、その場合にも、症状が現れる前に過大なストレスが無かったか、生活上の変化が無かったかなど、まずは環境をチェックし、その調整を試みることが大切です。